青春の残像

1通の感謝状に込められた
青春の残像

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勝ちにこだわれたのも、仲間と心底楽しめたのも、
すべては?学ドリ?があったから。
たくさんのライバルに出会えたのは、
優勝以上に価値あることなのかもしれませんね。

大同大学 河村真太郎
2008年東日本大会3位
2009年東日本大会3位
東西統一戦3位

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西日本大会が終了し、ホッとひと息ついた編集部に、1通の手紙が届いた。送り主は大同大学の河村くんだ。電子メール全盛期に手書きとは、いまどきの若者にしちゃずいぶん旧式だなーと開封してみると、そこにはルーズリーフ3枚におよぶ、学ドリへの想いが綴られていた。知ってのように、学ドリは応募用紙の熱さがハンパじゃない。しかし、終了後に感想文を送ってくる者はまれだ。彼はなぜこの手紙を送ってきたのか。優勝圏内のテクがありながら、4年間で3回も3位。「楽しかった」で終らせられるほどその想いは軽くないだろう。しかしいま、彼は心の底から「学ドリ楽しかった!」と伝えたいのだ。

東で優勝しなかったら、
統一戦に出る気はなかったんです

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 お疲れさまです。学ドリ万年3位男の河村真太郎です。文章力のまるでない自分ですが最後の学ドリが終わったいまの気持ちをぜんぶ言わせてください。
 勢いだけで書くので文と文字がメチャメチャになると思いますが、そこは雰囲気で読んでください。
 オレが大学へ入りドリフトをはじめ、なにもできないまま先輩に書類を書かされ参加した最初の大会が学ドリ、もちろん予選落ち。本当にくやしかった。その年の表彰式を見て、オレのなかでひとつの目標ができました。それは「学ドリで表彰台の真んなかに立つ」って目標です。
 思えばその目標を達成するためだけに、この4年間を過ごしてきました。
 そして去年、東大会で3位という結果。表彰台に乗れたのはたしかにうれしかった。でもナニかが足りなかった。それは、先輩でありライバルであった依田哲也先輩といっしょに表彰台に乗れなかったから。それだけがくやしくてピットに戻り、ひと目を気にすることなく泣きました。
 そのときは「来年、絶対に優勝してやる!」その気持ちしかなかった。
 そして今年、人生最後の学ドリがやってきてしまいました。
 はじめは西大会の統一戦で優勝すればいいと思っていたオレ。でも、名工大のヨッシー(吉野修治)にそれを告げたら「オマエはそれで満足なのか? 東西を制してこそ統一チャンプじゃないのか?」と怒るのです。この言葉で完全にスイッチが入りました。
 そして、東大会本番。順調とは言えないけれどベスト4まで進み、準決勝で青木くんとのサドンデスに敗れ3位に…。オレの最後の学ドリはこれで終わった。もうあの頂点には立てないのか…。すべての思いがあふれてきました。サーキットのなかで自分でも信じられないくらい泣きました。でも…4年間楽しかった! こうやって書いているいまでもウルウルしています。
 決勝が終って編集長にお礼の挨拶に行ったとき、自然と涙があふれてきて、編集長もいっしょに泣いてくれたのは本当にうれしかった。あのとき言ってくれた「おまえの計画には、みんな期待してた」「勝たせたいヤツがいるのに、なんで大会ってうまくいかないんだよ…」の言葉はまだ覚えているし、忘れることはないでしょう。
 なんのとりえもないオレだけど、編集長に存在を覚えてもらって、そんなことまで言ってもらえたのが本当にうれしかった。あの数分は、オレにとって一生忘れることができない出来事になりました。
 そして、3位まで統一戦出場の権利をいただきましたが、自分のなかで「東で優勝したら西に行く」と決めていた自分は、それに出ず、学ドリはこれで終わりにするつもりでした。

学ドリがなかったら、こんなにドリフトを
楽しんでなかった! みんなありがとう!

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 でも、ここでオレを動かしたのはヨッシーの言葉だった。「たしかにオマエの気持ちはわかるけど、統一戦に出たくても出れないヤツがいっぱいいるんだぞ。オレは出たくても出ないって決めたんだ。おまえみたいな若いヤツに託したんだ」と。
 そして迎えた本当に最後の学ドリ。練習走行を終え、正直言うと優勝の手応えはありました。しかし、統一戦最初の相手がおなじマイコンのバシバシくん(石橋くん)。ワンツーフィニッシュ(もちろん1位はオレ)を約束していたため、複雑な気持ちに…。
 結果は、まさかのスピン。オレは去年から通算3回目の3位という結果に…。でも、今回は不思議と涙は出なかった。結局、いちども表彰台の真んなかには立てなかった。本当に本当の最後の学ドリが終わったのに涙は出なかった。自分でもわからない。逆に清々しい気持ちでいっぱいになった。
 いま思うと、正直4年間夢見てきた?優勝?ができなくてくやしい! でも、この結果には後悔はしていない。矛盾しているのかな? でもこれがいまの正直な気持ちなんです! オレの学ドリはこれでゴールを迎えたけど、同時に新たなスタート地点に立てた。この4年間の経験を糧に、つぎの目標に向けてがんばろうと思います。
 学ドリにすべてを捧げた4年間、本当に楽しかった。かけがえのないたくさんの思い出ができた。全国に同世代のライバルだってたくさんできた。去年優勝の福島くん、勝ち逃げモコ沼くん、王子青木くん、群馬自動車大学校の強矢くん、森くん、ほかにもいっぱい。
 目標で夢だった表彰台の真んなかには立てなかったけど、みんなに出逢えたのは優勝以上に価値のあることかな?っていいわけくさいけど、いまは本当にそう思っています。
 あと…恥ずかしくていつもは言えないけど「ありがとう」って言葉をみんなに伝えたいです。直接には言えないけど編集部のみんなさんにだけ言っちゃいます。
 大同のみんな、マイコンリーダーの横井くん、依田先輩&ヨッシー、そして大事な大事な彼女へ、本当にみんなありがとう! いまの自分があるのも、みんなのおかげです!
 最後に、オレのこの4年間を夢中にさせてくれて…いや、オレの人生を変えてくれたドリフト天国のみなさん。本当にありがとうございました。本当に、本当に楽しかった! 学ドリがなかったらこんなにドリフトを楽しんでなかった! なんど言っても足りないくらい、ドリフト天国のみなさん&学ドリには感謝しています。
 4年間オレは勝ちにこだわってきた。でも、いまは勝つことより価値のあることを見つけることができた気がする。
 ひとそれぞれ、学ドリへの思いはちがうと思う。だからオレにはオレの学ドリがあった。
 この学ドリにすべてを捧げ、ドリフトの世界にどっぷりハマった河村真太郎という人物がいたことを、編集部のみなさんに覚えてもらうことができたらうれしいです。
 まだまだ、オレのドリフト人生終わったわけではないけど、ひとつの区切りとしてお礼の言葉を伝えたかったのでお手紙書きました。
 読み返すとなかなか読みずらい字ですが…根気よく読んでくださってありがとうございます。
 ボクにできることでしたら、なんでも手伝いますので言ってください。学ドリだって来年仕事の都合が合えばお手伝いさせてください。少しでもドリ天のみなさんに恩返しがしたいので、これからもよろしくおねがいします!